ME-WARDは、慣性計測装置(IMU)とビデオベースのポーズ推定技術を統合し、上肢の姿勢評価手法であるRULAをデジタル化することで、職場における筋骨格系疾患のリスクを自動かつ客観的に評価するマルチモーダルな分析システムである。
ME-WARDは、慣性計測装置(IMU)とビデオベースのポーズ推定技術を統合し、上肢の姿勢評価手法であるRULAをデジタル化することで、職場における筋骨格系疾患のリスクを自動かつ客観的に評価するマルチモーダルな分析システムである。 実際のコンベアベルト組み立て現場において、高精度な商用IMUシステムと安価な単眼カメラによる3Dポーズ推定を比較検証した結果、屈曲動作が中心となる作業において両者は高い整合性を示し、低コストな環境でも信頼性の高いリスクスコアの算出が可能であることを証明した。 このツールは、データの取得から前処理、スコアリング、可視化までを一貫して行うパイプラインを提供し、リソースの限られた産業現場においても、労働者の安全管理を高度化し、人間工学的な介入をエビデンスに基づいて迅速に行うための拡張性に優れたソリューションを提案している。
職場における筋骨格系疾患(WMSDs)は、世界中の労働衛生において極めて深刻な課題となっており、特に欧州連合(EU)内では労働者の健康と経済活動に甚大な影響を及ぼしている。反復的な運動、不自然な姿勢の維持、生体力学的な過負荷といった人間工学的なストレス要因は、労働者の生活の質を著しく低下させるだけでなく、生産性の減退や莫大な医療費、休業補償といった経済的損失を毎年引き起こしている。最新の統計によれば、EUの労働者の約60%が何らかの筋骨格系疾患を抱えていると報告されており、その内訳は背中の痛みが43%、肩や首、上肢の筋肉痛が41%と非常に高い割合を占めている。これらの疾患は製造業からサービス業に至るまで、あらゆる産業分野の労働者に影響を及ぼしており、産業界全体での抜本的な対策が急務となっている。 しかし、従来の人間工学評価手法には、実用上の大きな障壁が存在している。一般的に広く用いられているRULA(Rapid Upper Limb Assessment)などの手法は、専門家による直接的な観察や、録画されたビデオ映像の事後的な分析に大きく依存しており、評価者の主観が入り込みやすいという欠点がある。…
本研究では、人間工学評価と筋骨格系リスク評価をデジタル化し、自動化するための革新的なシステム「ME-WARD(Multimodal Ergonomic Workplace Assessment and Risk from Data)」を提案する。このシステムの最大の核心は、異なる種類のデータ取得技術をシームレスに統合できる「マルチモーダル」な柔軟性にあり、特定のハードウェアに縛られない汎用的な評価フレームワークを実現している。…
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